「大学における社会福祉教育の到達目標と福祉専門職養成教育の位置づけ」-学部教育と大学院教育の連結と福祉専門職養成教育の位置づけを巡って-
Ⅰ.大会趣旨
日本社会福祉教育学会第13回大会は、龍谷大学(深草キャンパス)において開催します。大会テーマは「大学における社会福祉教育の到達目標と福祉専門職養成教育の位置づけ」です。
2015年2月22日に開催された日本社会福祉教育学会第5回春季研究集会において、本学会は当面の社会福祉教育研究の課題と研究テーマを、以下のように整理しました。
- 総合的なカリキュラム研究の必要性
- 新たな授業科目の検討と教材開発
- 福祉専門職養成教育の充実と新たな課題への取り組み
- 「社会福祉教育」をキーワードとした学会と職能団体と教育機関との連携システムづくり
第13回大会テーマは、「1.総合的なカリキュラム研究の必要性」と「3.福祉専門職養成教育の充実と新たな課題への取り組み」に関連するものです。本大会において、このようなテーマを取り上げる背景には、以下のような問題意識があります。
まず大学における社会福祉教育の到達目標についてですが、具体的にはどのような到達目標が設定されているのでしょうか。そしてそれは、教育年限とどのような関係を持つのでしょうか。この点については、今大会開催校である龍谷大学短大学部のような2年の修学年限のところと、4年の修学年限となる学部教育の連結をどのように考えるか、さらにその学部教育と大学院教育の連結をどのように考えるかという課題と繫がります。
大学における社会福祉教育が多様化する今日、その到達目標と学部教育と大学院教育の連結について整理する必要性があるのではないでしょうか。
短期大学・大学・大学院における社会福祉教育の到達目標と連結を整理することが、大学における社会福祉教育の「縦軸」の検討であるとするならば、この「縦軸」との関連で、大学における福祉専門職養成教育はどのような位置づけになるのかという課題を設定したいと思います。これは古くて新しい課題ですが、昨今の社会福祉士養成教育の見直しを視野に入れ、大学における社会福祉教育において福祉専門職養成教育は、他の専門職教育と比肩できる内容と水準を充分に担保できているのかという点について検討したいと思います。大会テーマに関するこれらの課題は、学会企画シンポジウムにおいて取り上げます。
また開催校主催シンポジウムでは、龍谷大学の建学の精神に基づくテーマとして「いのちの尊厳といきる価値」を取り上げます。まさに大学における社会福祉教育の根幹をなす部分です。
Ⅱ.大会企画シンポジウム
テーマ:大学における社会福祉教育の到達目標と福祉専門職養成教育の位置づけ
【大会企画シンポジウム趣旨】
一昨年来、矢継ぎ早に、ニッポン一億総活躍プラン、我が事丸ごと地域共生社会実現などに基づく新たな福祉提供ビジョンが提起されています。こうした新しい地域包括支援体制を担う人材養成にかかわる福祉教育に対して、大きな課題が提起されているといっても過言ではありません。大会企画シンポジウムでは、このような中で求められる社会福祉教育、中でも専門職養成教育を通して身につけるべきコンピテンシー、そのために設定されるべき福祉教育の具体的な達成目標とは、何なのか、社会福祉教育は他の専門職養成教育に比肩する内容と水準を担保するためにどうあるべきなのかということについて明らかにしたいと思います。4名のシンポジストにより、まず学校ソーシャルワーカー養成教育を例に、大学、大学院、リカレントという教育システムの差異との関連性と接続について、次に資格取得に必要な相談援助実習とその後のアドバンスト実習が実施される二段階の実習教育を題材とした大学教育について、また短期大学と4年生大学における専門職養成の接続について、更に大学院教育と学部教育の接続について発題をいただき、フロアも交えて議論を展開していきたいと考えています。
Ⅲ.開催校企画シンポジウム
テーマ:「いのちの尊厳と生きる価値」
【開催校企画シンポジウム趣旨】
浄土真宗の精神を建学の精神とする龍谷大学は、人権に関する基本方針の中で、「教育、研究など、あらゆる機会において人権保障にかかる諸課題を明らかにし、諸活動や成果の発信を通して、人権を尊重する文化と差別のない社会づくりに貢献する」ことを明らかにしています。
開催校企画シンポジウムでは、社会福祉教育の根幹をなす人権教育としての「いのちの尊厳と生きる価値」について取り上げます。
2016年7月に神奈川県相模原市の障がい者施設「津久井やまゆり園」において刃物をもった男が暴れ、多数の死傷者がでるという痛ましい事件がありました。衝撃的だったのは、加害者が当該施設の元介護職員で、「重い知的障がいのある人は無意味な存在であり、国にとって損失になる存在」との信念をもっていたことです。
この事件は、人権教育について改めて考えざるをえない大きな課題を私たちに投げかけています。私たちは、世界中で、多くの人たちの命が奪われていくなか、自分の身に連なる人のこととして当事者性を感ずることが出来ているのでしょうか。社会的負荷を負わされている人と接するなか、生きることの意味や自分に課せられている使命について、その意味を深められているのでしょうか。人権侵害に苦しんでいる人に向き合い、学生が社会に対して責任ある生き方が出来るよう支え導く役割を果たしているのでしょうか。優生思想が私たちのなかにあり、社会構造に組み込まれていることに気がつき、克服するような取り組みが出来ているのでしょうか。これらの問いかけに対し、私たちはしっかりと答え、社会福祉教育に寄与出来ているのでしょうか。
社会福祉教育において、人権教育が形骸化することなく、いのちの尊厳や生きる価値について真に理解し、生きた教育とするにはどのような取り組みが必要なのか、「津久井やまゆり園」の事件を踏まえながらともに考える時間にしたいと思います。
Ⅳ.開催日時
- 日本社会福祉教育学会第13回大会プレ企画
- 2017年9月1日(金)
- 日本社会福祉教育学会第13回大会
- 2017年9月2日(土)~3日(日)
Ⅴ.会場
- 龍谷大学(深草キャンパス)
- 和顔館(ホール、地下1階、地下2階)(京都市伏見区深草塚本町67)
Ⅵ.大会プログラム(予定)
【プレ企画】9月1日(金)
「福祉×京都×国際×文化×体験」ツアー(詳細はプレ企画チラシ参照)
≪第1部≫
10:15~ | 京阪電鉄「東福寺」駅東口改札口集合 |
---|---|
10:30~11:30 | 故郷の家・京都見学 |
≪第2部≫
13:00~ | 「よしもと祇園花月」前集合 |
---|---|
13:00~13:50 | 祇園・八坂神社見学 |
14:00~14:45 | 茶道体験 |
【 1日目 】9月2日(土)
9:00~ | 受付開始 |
---|---|
9:30~12:20 | 学会企画シンポジウム 「大学における社会福祉教育の到達目標と福祉専門職養成教育の位置づけ」 ◆シンポジスト 宮嶋 淳(中部学院大学) 川島 惠美(関西学院大学) 阪口 春彦(龍谷大学短期大学部) 木原 活信(同志社大学) ◆コーディネーター 杉山 克己(青森県立保健大学) |
12:20~13:30 | 昼食 |
13:30~14:40 | 学会年次総会 |
14:40~16:30 | 自由研究発表① |
16:30~ | ワークショップ(マクロのソーシャルワーク演習の進め方) 講師:川廷 宗之(大妻女子大学名誉教授) |
19:00~20:30 | 情報交換会 紫英館グリル |
【 2日目 】9月3日(日)
9:00~ | 受付開始 |
---|---|
9:10~10:20 | 自由研究発表② |
10:20~12:50 | 開催校企画シンポジウム 「いのちの尊厳と生きる価値」 ◆シンポジスト 玉木 幸則(NHK eテレバリバラ 出演者 社会福祉法人 西宮市社会福祉協議会 障害者総合相談支援センター長) 要田 洋江(大阪市立大学) 加藤 博史(龍谷大学短期大学部教授 知的障がい者オープンカレッジふれあい大学課程代表) ◆コーディネーター 小山 隆(同志社大学) |
12:50~13:00 | 閉会 |
Ⅶ.参加費用
【大会参加費】
事前申し込み | 当日参加 | |
---|---|---|
会員 | 7,000円 | 8,000円 |
非会員 | 7,000円 | 8,000円 |
学生・大学院生 | 3,000円 | 4,000円 |
【大会参加費】
3,000円 会場:龍谷大学紫英館グリル
Ⅷ.大会参加申し込み方法
【事前参加申し込み】
第13回大会の事前申し込みは2017年7月31日(月)で締め切りました。
ご参加頂く方につきましては,当日参加を受付にて承ります。当日参加の参加費を受付にてお支払い下さい。なお,当日参加の場合は,参加費の事前振込などにはご対応致しかねます。
その他大会へのご参加等,何かご不明な点などございましたら,事務局宛にお問合せ下さい。
Ⅸ.自由研究発表、特定課題セッションの応募方法
【自由研究発表】
自由研究発表の登録申込みは6月9日(金)で終了しました。
【特定課題セッション】
特定課題セッション応募は6月9日(金)で終了しました。
Ⅹ.宿泊等について
宿泊につきましては紹介・斡旋をいたしません。各自でご手配頂きますようお願い致します。京都は国内外からの観光客が多く、特に週末はホテルの確保が大変難しくなっております。早めの確保をお願い致します。
Ⅺ.会場・交通案内
会場や交通機関につきましては、龍谷大学ホームページ(http://www.ryukoku.ac.jp/)を参照してください。
【会場へのアクセス】
JR奈良線「稲荷」駅下車、南西へ徒歩約8分
京阪本線「深草」駅下車、西へ徒歩約3分
京都市営地下鉄烏丸線「くいな橋」駅下車、東へ徒歩約7分
【お問い合わせ】
※下記、大会実行委員会事務局にお問い合わせください。
〒612-8577 京都市伏見区深草塚本町67
龍谷大学短期大学部(早川 明)
TEL:075-642-1111 FAX:075-645-2825