2013年10月15日発行
巻頭言
社会福祉教育に求められる「創造性」「想像性」「統合性」の醸成
社会福祉教育について今、おもうこと。
現在、社会福祉を取り巻く環境の変化はめまぐるしいものである。この変化の速度を敏感にキャッチし、その前方へと先んじて進むことのできる実践現場の専門家や教育現場の研究者を育て上げることが、社会福祉教育には求められるようになったと思われる。
社会福祉教育が、社会福祉学についての先人の知恵と論理を伝承することをその機能とするのは当然であるが、その基盤の上に社会福祉学をさらに深化させ、進化させるために、「想像性」や「創造性」を活かした二つの力をバランスよく発揮し、醸成したものを「統合性」に向かわせ洗練し、新たな芽を育むことができるような教育が望まれる。
たとえば、児童虐待について従来の方法で援助することも可能であるが、その児童はすでにこれまでとは異なる社会環境に生き、生活環境が全く異なり、対人関係も、おのずとその質は大きく変容しているだろう。携帯がスマホに置き換わったくらい、その対応の仕方を180度変えなければならないだろう。
学生たちにこれまでの論理の応用を教育しても、あまり功を奏さないかもしれない。むしろ、異次元を想像させ、新たな工夫を創造させる教育が必要であろう。しかしその工夫は新たなもので、試みていないことから、その効果や成果を予測することは難しく、非現実的なものであるかもしれない。この場合、旧来の工夫とこの新しい工夫とを折衷させ、統合的工夫を編み出せば、その成果を容易に予測できるかもしれない。
先達の知恵と論理にしがみつくだけでなく、それらの限界と効用を明確にし、新たな工夫と合わせて相互に補足する。この方法で教育を行えば、新次元の現象に対する新たな取り組みを、想像に基づき創造することも可能となるだろう。その結果、児童虐待現象も解消されることとなるかもしれない。
次世代に来る新しいパラダイムはなんだろうか。教育を考える仲間とは、こんな夢も語り合いたい。
監事 福山和女(ルーテル学院大学)
目次
- 巻頭言
- 第9回大会開催される
大会を振り返って
大会参加者の声 - 2013年度理事会報告
- 2013年度総会報告
- 学会探訪⑧~日本マイクロカウンセリング学会~
- 会員の声~私の福祉教育~
- この一冊:私が推薦します!
- 社会福祉系学会連合より
- 2013年度第4回春季研究集会の予定
- 学会誌投稿募集・編集後記
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日本社会福祉教育学会 NEWS LETTER No.19[1.47MB]