日本社会福祉教育学会 NEWS LETTER No.47

日本社会福祉教育学会 第15回春季研究集会

 2025年3月16日、日本社会福祉教育学会 第15回春季研究集会(オンライン)が開催されました。

 本学会では、2022年度から2024年度までの期間、2カ所・240時間実習の実施に関連するシンポジウムやワークショップを行なってきました。これらをもとに、本研究集会では、そこから導き出された実習実施にあたり、①異なる2カ所の実習をどのようにつなぐのか、②異なる2カ所目の実習先との連携のあり方、③実習先・養成校・実習生それぞれへの負担増にどのように対応すべきか、という3つの課題を柱として、特色ある方法で実習を実施している養成校からの実施報告を行いました。そして、さらに各校の工夫などを出し合い、3つの課題への対応を参加者と話し合いながら進められました。

 ご参加頂いた皆さま、ありがとうございました。

13:00開会
挨拶(日本社会福祉教育学会会長 志水 幸 氏)
13:10各養成校からの実施報告
高杉 公人 氏(新見公立大学)
小野 セレスタ摩耶 氏(同志社大学)
竹森 美穂 氏(関西学院大学)
コーディネーター:川島 惠美 氏(関西学院大学)
14:10休憩
14:20登壇者及び参加者によるディスカッション
「3つの課題への対応・工夫について」
15:00各グループからの報告
15:30閉会

【参加者の声】第15回春季研究集会に参加して

岡本 周佳(関西学院大学)

高杉公人会員(新見公立大学)
高杉公人会員(新見公立大学)

 2024年度に入会し、初めて春季研究集会に参加させていただきました。今回の研究集会は、新カリキュラム導入後の2022年度から継続的に議論や検討を行なってこられた2か所・240時間 実習に関する総まとめという位置づけでした。これまでの議論を十分に理解できていない立場ではありますが、参加の感想を少し述べさせていただきます。

 まず、1番目の報告者である高杉公人先生の新見公立大学では、1か所目に210時間の中山間地域での地域滞在型実習を実施し、2か所目に学生の目指す領域に応じたソーシャルワーク実習を実施している点が特徴ではないかと思います。210時間の実習の中で地域の事例研究と個別の事例研究を連動させて学べるようにしたうえで、最終的には学生がプロデュースをして実習地域での発表会まで行っているということが印象的でした。また、交通費・宿泊費を大学が原則補助することは学生にとっての負担軽減や公平感の担保にもつながると感じました。加えて、実習引き継ぎ書や実習支援システム、実習調整会議といった、1か所目と2か所目のつなぎを意識した取り組みも大変学びになりました。

小野セレスタ摩耶氏(同志社大学)
小野セレスタ摩耶氏(同志社大学)

 2番目の報告者である小野セレスタ摩耶先生の同志社大学では、1年次に60時間の基礎実習を必修としており、3年時の夏休みに2か所目の180時間実習を実施している点が特徴だと感じました。基礎実習で学ぶ内容を明確にして枠を定め、学びの土台をつくった上で、専門実習において他の内容をカバーしているという点が印象的でした。1年次に実習を必修とすることで2年次に進路を考える時間ができるというお話もありましたが、同時に、社会福祉の実践現場やソーシャルワーカーとして働くことへのイメージ付けにもつながるのではないかと考えました。また、60時間の専門実習では、カリキュラム変更に伴って新たに配属が可能となった機関・施設へも配属しているという点も興味深く感じました。

竹森美穂会員(関西学院大学)
竹森美穂会員(関西学院大学)

 関西学院大学の竹森美穂先生からは、新カリキュラムが始まってから3年間の試行錯誤についてのご報告がありました。関西学院大学は、巡回指導担当教員が非常勤も含めて人数が多い点、240時間実習を3年次にすべて実施している点が特徴的だと思います。そうした中で、1か所目の40時間実習について3年間で異なる方式で実施した報告もありました。①春学期内に分散して実施、②夏休みに実施、③春学期内に集中的に実施、の方式それぞれのメリット・デメリットも示されました。40時間実習の位置づけや巡回担当教員間の連携が課題という点もご報告がありました。

川島惠美会員(関西学院大学)
川島惠美会員(関西学院大学)

 3名のご報告ののちの質疑応答では、各大学の実習の進め方・考え方がより具体的にイメージできました。

 社会福祉士養成としての実習における基盤・共通となる学びを担保しながら、各大学の状況やあり方、また社会や時代に応じた実習のあり方を追求していく上で、今回の学びを具体的に私自身の実習教育にも活かしていきたいと考えています。

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